「アイドル戦国時代」の中国 ミレニアル世代が主導する新しいポップカルチャーが席巻

[AdSense2]

引用元:好書好日
「アイドル戦国時代」の中国 ミレニアル世代が主導する新しいポップカルチャーが席巻

 中国のミレニアル世代(1980年頃から2000年代始めに生まれた世代)のライフスタイルと最新ポップカルチャーを紹介した『中国新世代 チャイナ・ニュージェネレーション』(スモール出版)が刊行されました。若い世代が牽引するアイドル、ファッション、ヒップホップ、映画といった様々なジャンルの動向が綴られています。中国カルチャーを20年以上ウォッチしている著者の小山ひとみさんに、最新の中国文化事情について、お話を聞きました。

【写真】アイドル村の様子など小山さん提供の写真はこちら

中国で生活する人の「生の声」を

――中国のミレニアル世代の生き方に着目したのはなぜでしょう?

 最近、ITやビジネスの分野の中国関連の本は増えています。でも中国で生活している人たちの生の声を伝えた本がないなと思ったんです。一体どんな価値観を持っていて、どんな事が好きなのかを紹介したいと思いました。

 特に今は全世界的にミレニアル世代は経済力があって、カルチャーを引っ張る世代だと言われていますが、中国は何が凄いかというと人数が半端ないことです。ミレニアル世代だけで約4億人もいるんですよ。

――日本の人口の3倍近くもいるんですか。中国のミレニアル世代の特徴は「インディビジュアライゼーション(個人化)」だそうですね。

 中国の若者やユースカルチャーの研究者、チャン・アンディンが指摘していることですね。親世代は国から与えられた仕事に就いて、住居も支給されていました。つまり、国が用意した人生を歩んできた人たちでした。それと比べるとミレニアル世代は全部自分で決めないといけません。(1978年の改革開放による市場経済への移行のため)親世代よりも圧倒的に多くのチャンス(選択肢)が出てきました。個に向き合わないといけない世代なんです。

 だから親とのギャップが凄く生まれます。例えば親世代は20代で結婚するのが当たり前だったのに、今の子たちは海外の情報もネットで見ていて価値観が多様化しているので「結婚は別に30代になってもいいじゃん」と思う。そうしたギャップは日本以上にあると思います。

 また「ミレニアル世代」の特徴は比較的時間とお金があることです。一人っ子政策の世代なので、親は一人の子を可愛がります。さらにおじいちゃんとおばあちゃんも合わせると、合計6人からお金と愛情を注がれる。特に大都市の子たちはお金も時間も余裕があって、海外留学をする子も多いですね。

――恵まれた環境の人が多いと。

 ただそれでいいかというとそうではなくて、人口が多い分優秀な子が多いから競争が凄いんです。本で紹介したジン・ティエンファンさんは、ニューヨークのパーソンズ美術大学の大学院でファッションを勉強した後に、友人と二人でブランド「ランダム・クリーシェズ」を立ち上げました。彼女は「他とは違う何かをやらなきゃ」と苦しみながら、服だけではなくアート的な要素を入れた家具のプロダクトデザインをしたりしています。でも欧米に留学した新しい子たちがどんどん帰国してくるので「危機感を感じる」と話していました。「自分たちもウカウカしていられない」と。

――周りとの競争が激しいのですね。本書ではアイドルのオーディション番組も取り上げられていました。

 2018年にオンラインプラットフォーム「iQIYI (アイチーイー)」でアイドルバトル番組「Idol Producer」がヒットして「中国アイドル元年」と言われました。2019年にはシーズン2が放送され、他のプラットフォームでも似た番組が放送されて「アイドル戦国時代」が到来しました。今は毎日のようにアイドルが誕生しています。

 そうしたアイドル番組の他にもラップ番組やストリートダンス番組もヒットしているんですが、面白いのはどれもバトル番組なんですよね。競争して「努力した人が報われる」と言いたいというか。「Idol Producer」のシーズン2のスローガンも「努力すれば優秀になれる」でした。そこには「青少年を育成する」というメッセージも込められています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました