眉村ちあき、リリスク、アンジュルム……TIFは“音楽”と“美しい存在”に出会える場所に

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眉村ちあき、リリスク、アンジュルム……TIFは“音楽”と“美しい存在”に出会える場所に

 現在放映中の『だから私は推しました』(NHK総合)でディテール細かく描かれる地下アイドルの世界。Tシャツの背中にサイン、推しとのチェキ、ショッピングモールでのアウェイなライブ。『TOKYO IDOL FESTIVAL』(以下、TIF)に訪れる人なら、一度は目にしたことのある馴染み深い光景だ。大衆の興味を引きつけるアイドルとオタクの独特な関係性や、コール・MIXその他諸々の文化といった目立つ点ばかりがメディアで取り上げられがちだが、実はもっとシンプルな「音楽」と「美しい存在」に出会える場所なのだ。

『TOKYO IDOL FESTIVAL』イラスト

 私自身がTIFに行くのは今年で8回目。初めて行った2012年には熱中症になりかけ、その翌年には転んで怪我をして救護室にお世話になった(救護スタッフのお姉さん綺麗な人だったな)。心身ともに痛い体験を経て、エネルギー補給のタイミングや熱中症対策のコツもつかめてきて、だいぶ慣れたと思っていても、上がってゆく夏の平均気温と反比例して、年齢を重ねるごとに体力は落ちていく。涼しい部屋で配信を観ていれば命の危険なく過ごせるのでは? と思うときもあるけれど、知らなかった音楽に出会えたり、ライブを観たら印象が塗り替えられたり、自分のテリトリーだけでは得られない、その場所にしかない特別な体験が、TIFにはあちこちに溢れている。その転がっている石を自分だけの宝石に変えられるかどうかは、行ってみないとわからない。

1.TIFで出会った美女たち

●Good Tears 池松愛理さん
 ラストアイドルのセカンドユニット・Good Tearsの池松さん。過酷なバトルの頃から一際輝くダンスと、どんなキツい場面でも曇ることなく輝く瞳の彼女が、太陽の下、数メートル先で汗を煌めかせて踊っている! TVとは違う、生きた美しさ。青空の下、涼しげな編み込みが爽やかに映える。

●LiKE 小田川楽空さん
 クールなビジュアルに、ミラーボールの下が似合うカッコイイ楽曲、さらに対照的な可愛らしくホワホワなMC。そんなLiKEのメンバーが、自己紹介で全員中学~高校生であると知り、年齢と見た目までギャップ萌えの宝庫。全員170cm前後の超人的スタイルと完成された華やかなビジュアルに驚いたけれど、元・原宿駅前パーティーズNEXTと知り納得。ショートヘア&キリっとした瞳で猫娘感あふれる小田川さん。

●アンジュルム 川村文乃さん
 数年前のTIFで無料撮影をやっていたはちきんガールズのあの子が、アンジュルムに加入し満員のメインステージで堂々とパフォーマンスしていることに感動。手足がスラリと長く華奢なのに、むしろ力強く逞しい。初アンジュルム、客席最後方にいてもすぐ目の前にいるような「圧」の強さが段違いだ。

●青春高校3年C組
・頓知気さきなさん
 戦慄かなのさん(姉)とのユニットfemme fataleでのフランス人形のようなガーリーさとは対照的に、青春高校3年C組では太陽の下が似合う爽やかさをみせている。佐久間宣行プロデューサー司会のトークでは「お姉ちゃんに青春高校の話をしても全然聞いてくれない」と話し、「妹が外で楽しくやってるジェラシーじゃないか」と佐久間P。その姉妹関係を想像するだけできゅんきゅんする。

・兎遊さん
 ホンワカしたなかに妖しい雰囲気もある幻想文学的美しさは、遠くからでも惹きつけられる。不思議な名前と相まって、現実離れした美少女だ。前述のトークでは、「加入してひと月くらいは『楽しいです』と『嬉しいです』の二つしか喋れなかった」とのこと。

●NYOUTUBER 手島優さん
 初TIFで観た深夜のセクシー☆オールシスターズ、彼女の爆発的可愛さに打ち抜かれた。話題の「ハミ乳パパラッチ」を引っさげて、10年目のメモリアルなTIFに還って来てくれた!

 ステージ上の彼女は変わらずキュートで、(主に胸元から))光り輝いていた。自分の体ひとつで勝負して、女性自ら発する「エロさ」は最高にカッコ良くて(さらに自分と同い年)、その姿を見るだけで目頭が熱くなる。

●番外編:BONDSのお姉さん
 もはやTIFの名物キャラクター、警備団BONDSの女性スタッフを初めてお見掛け。アイドルの華奢な体躯を見慣れた目にガッシリした筋肉が一際頼もしく見えて、瞳のギラギラした輝きが美しい方でした。

2.TIFに現れたダンスフロア
 みんなと同じ動きをしなくてもいい、ただこの音をずっと聞いて踊っていたい。聴覚と視覚両方が満たされる瞬間、脳内が幸福感でいっぱいに占められて、野外にいても脳内でミラーボールが回り出し暑さを感じなくなる(危険)。

●MELLOW MELLOW(SENAさん)
 踊れる挑発的ダンストラックから、クラシックなディスコナンバー「WANING MOON」で夕暮れ時のFESTIVAL STAGEに涼やかなチルアウトタイムが訪れる。その歌唱力でTVでも活躍されているSENAさんは、妖精のように小さな身体で、他の誰にも似ていないグルーヴ感を表現し堂々としたパフォーマンスを見せる。それは「見て、この私が最高でしょ!」と、全身で叫んでいるようだ。謙遜ばかりを美徳とする時代を終わらせ、日本女子の魅力を更新する存在だろう。

●桜エビ~ず(水春さん)
 全曲が恐ろしいほどのキラーチューンを聴かせる桜エビ~ず。リアルな灼熱の下で聴く「灼熱とアイスクリーム」で脳が溶けた。見ているだけで浄化される清々しいダンス。フィッシュテールシルエットの水色ワンピースの裾がターンの度に広がり、遠くから見ると朝顔が揺れているかのよう。水春さんの、振付通りの動きだけでなく独自のグルーヴが感じられるダンスに心惹かれた。

●フィロソフィーのダンス(日向ハルさん)
 ディズニーシーのショー『ビッグバンドビート』のごとくコミカルに弾ける新曲「ダンス・オア・ダンス」。まるで人間ミラーボールのような煌びやかなゴールドラメ衣装が映えて、真夏の野外で世界一健康的なキャバレーショータイムとなった。彼女たちのライブは一際自分好みでハート射抜かれ、暑さも忘れて踊り狂う。どんなに踊っても全くブレることない、日向ハルさんの歌唱力に改めて圧倒された。

●lyrical school(minan/hime/yuu/hinako/risano)
 HOT STAGEで初披露された新曲「LOVE TOGETHER RAP」。NONA REEVESが大好きな自分にとってNONA REEVES「LOVE TOGETHER」をラップカバーしたこの曲は、大好きな可愛い女の子たちからのプレゼントのようだった。SMILE GARDENでは初回TIFのレジェンド・Tomato n’Pine「ワナダンス」をビートジャック。「今までこのステージに立った全てのアイドル/居たからこそあるこのステージ」、himeちゃんのバースに泣きながら踊った。その「全てのアイドル」には、きっと彼女自身も含まれている。もう、いつもすぐに頬っぺたが紅潮していたちっちゃな子供みたいなhimeちゃんではなかった。

 〈いつか終わる時のなかで/少しだけ君と出会ったこと/いつか止まるビートの上/ふぞろいなステップのままでラストダンス〉と歌う「LAST DANCE」。古今東西の映画オマージュ溢れるMVが大好きなこの曲もメンバーの生きた輝きだし、risanoのムーンウォークをこの眼で見てさらに好きになった。決まった振付がなく、メンバーはステージをウロウロする。個性がバラバラだけれどなぜか気の合う友達同士が好き勝手に遊んでいるような自由さが、こちらの心も自由にしてくれる。hinakoちゃんが、ステージ端っこにちょこんと腰かけ足をプラプラさせていた様子が可愛らしかった。

3.眉村ちあきの衝撃
 TVでの存在が面白すぎて「ヘンテコなことをやっている人」という印象が強かったけれど、ただシンプルにライブが凄かった。昨年TIF公開オーディションに出場するも落選。今年はオファーを受けメインステージに出演というドラマチックな背景を知らなかったとしても、命がけの気迫と全身で今この場所を楽しもうとするピュアさは、ライブを一度見たら誰もが分かる。「キャハッ!」というハイトーンの笑い声と全身の様子に、亜土ちゃんこと水森亜土さんの絵の世界そのままにしたかのようなキュートさが重なる。

 観客の上をサーフする定番曲「奇跡・神の子・天才犬!」では「サーフは禁止だから、騎馬戦やろうっと!」と言い出し、彼女をずっと見守ってきたお父さん的存在のプロインタビュアー吉田豪さんとスタッフの騎馬に乗り、ステージを練り歩く。さっきまで歌に胸打たれて泣いていたのにまさかの豪さん登場の衝撃で、笑い涙と感動の涙の区別がつかなくなる感情のカオス。

 「私は今日が一番最高のライブをしに来てる、いつも一番最高のライブをしたい」と真っ直ぐな気持ちを語って始まった「大丈夫」は、眉村さんが自分自身にも向けて歌っているんだと伝わって、気がつくとボロボロ泣いていた。眉村さんはいつでも今この瞬間が最高のライブだから、「あの時から知ってる」というマウンティング合戦は無意味。私は堂々と「TIF新規です!」と言いたい。

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