玄人はだしの「笑い」で地域と人つなぐ 消防庫を拠点に活動するコント集団の魅力とは【アイドル総合】

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引用元:神戸新聞NEXT
玄人はだしの「笑い」で地域と人つなぐ 消防庫を拠点に活動するコント集団の魅力とは

 兵庫県福崎町西田原の田尻地区に、玄人はだしのコント集団がいる。会社勤めや自営業の住民有志でつくる「劇団田尻」。地元の小さな消防庫を拠点にひそかに笑いを練り上げ、じわじわと観衆を増やしている。地域を動かし、つなぐ劇団の魅力とは-。(井上太郎)

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 秋の夜。ほっかむり姿で風呂敷袋を背負ったいかにも怪しい2人組が屋台蔵に忍び込んだ。警官風の男が駆けつけ、問うた。「名前は?」「ドロです」「ボーです」「ドロボーやないか!」。警官はスリッパですかさず頭をはたいた。

 2012年10月、熊野神社(福崎町西田原)の秋祭り宵宮後。氏子・田尻地区の屋台を収めた蔵にはっぴ姿の男衆や家族らがカメラを構えて居残った。お目当ては劇団田尻のコントだ。

 場面は続く。古くなった屋台を盗みに来たという2人組。「いっそなくなれば新調されるでしょ」「そんな方法で誰が喜ぶねん。ええか、新調っちゅうのはなあ」-。警官が合意形成の意義を熱く説く。2人は改心し、物語は幕を閉じた。

 披露されたのは「屋台泥棒」。ちょうど、約100年前から使う屋台の新調議論が5年ほど棚上げされていた時期。新調の後押しにと練り、いまも代々のネタの中で名作と言われる。

 同劇団は「屋台の蔵入り後が何となく寂しい」と同町の会社員藤沢一弘さん(46)が旗揚げした。活動は10年ごろから本格化。現在は、藤沢さんがスカウトした秋山洋二さん(46)、●岡陽介さん(44)、福永建さん(35)、安倍茂雄さん(21)の会社員4人と、塾経営の三木幸平さん(39)、理髪店主の屋禰正人さん(48)がメンバーに名を連ねる。

 拠点は同神社のそばにある町消防団田尻分団の消防庫。毎年5月ごろからテーマを固め、2階の12畳一間で秋に向けてネタを練る。

 吉本新喜劇や、ザ・ドリフターズの人気番組だった「8時だョ!全員集合」を徹底研究。高校のラグビー部員や80年代風のアイドルに扮したメンバーが次々とボケては藤沢さんがツッコみ、まとまりのない集団に一体感が生まれていく-というストーリー展開で浸透してきた。

 観客を巻き込むスタイルが特色の一つで、区長をハリセンではたいた年も。藤沢さんは「笑い声から察するに(観衆は)そんなにいない」と謙遜するが、ある住民は「当初は数十人だったが、200~300人に増えている」と話す。

 田尻地区は町内でも開発が進んでおり、子育て世帯の転入が活発。藤沢さんは「祭りの敷居は高くても、コントなら寄りやすい。地域と人がつながるきっかけになれば」と期待する。

 近年は子ども会のクリスマス会にも出演する。全員が仕事と両立しながら新たな依頼に応じるのは難しいが、今後も無理ないペースで活動を続ける。

※●は高の異体字「はしごだか」

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