何のために「貞操観念」は存在するのか/島本理生×鈴木涼美対談【アイドル総合】

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引用元:女子SPA!
何のために「貞操観念」は存在するのか/島本理生×鈴木涼美対談

19年10月に、さまざまな女性の闘いと解放を描いた小説集『夜 は お し ま い』(講談社)を刊行した直木賞作家の島本理生さんと、11月に女性の選択をテーマにしたエッセイ集『すべてを手に入れたってしあわせなわけじゃない』(マガジンハウス)を刊行した鈴木涼美さん。両作の刊行を記念して19年12月18日に開催されたトークショーを記事にまとめました!

⇒【写真】島本理生さん

なぜ「若い女性」というだけでお金になるのか

鈴木:『夜 は お し ま い』は、『群像』に書評を書かせていただくことになって、発売より少し早めに拝読していました。今までの作品も拝読していますが、今回の作品は特に興味深かったです。

島本:ありがとうございます!

鈴木:ミスコンやパパ活といった、「女性が商品化される現場」が多く出てきますが、こうしたモチーフを扱おうと思ったのは何故なんですか?

島本:いまのパパ活というよりは、自分が青春を送った90年代の「援助交際ブーム」のイメージが強く残っていて。単に高校に通っている、女子高生であるという事実に対して高額な価値が自動的につくことにとても違和感を覚えたんです。個人の人格や能力とは何の関係もないのに、若い女性であるというだけで金銭的な価値が与えられるんだということを否応なしに認識させられた。それって、得しているようだけど全然そんなことなかったんじゃないかというのを書いてみたかったんです。

鈴木:やっぱり若い時から小説家として活躍されているからか、視点が独特ですね。私は、「女子高生ってだけでおカネになるんだ、ラッキー!」みたいな感じで、そのおカネが一体何であるのか、なぜ私に金銭的価値があったのかなんていうことを考え出したのは、もっとずっと後になってからです。

島本:作家になる人間の若いころなんて、部屋にこもって本読んでるだけだから……(笑)。

鈴木:私も本に囲まれる環境にいて、同じような世代の中では本を読んで育った方だとは思いますが、それこそ女子高生時代は毎日が目まぐるしいので、家で本を読んでいた記憶は希薄ですね。そうやって目まぐるしく過ごしていて、気づけば女子高生というレッテルを脱ぐ年齢になっていました。女子高生がいかに強固なブランドであったか、はそれを脱いで初めて意識するわけです。大学に入ると同時に、水商売やAVの世界に入っていったのは、そうやって価値を剥ぎ取られた気分になったことが関係している気がします。

島本:同世代だけどまったく違う立ち位置で同じ時代を過ごしていたんですね。

鈴木:常に自分を商品化して生きてきたからこそ、「性の商品化」というテーマで島本さんがどういったことを描くのか、すごく楽しみにしていたんですけど、読んでみたら期待を上回るおもしろさでした。特に、神学科の教授であり神父である金井先生が、ひとつめの短編「夜のまっただなか」の主人公になぜ貞操観念というものが存在しているのかを説明するくだりは印象的でした。「そう決めつけなければ、誰もあなたたちを守らなくなるからです」という一文は、貞操観念なんて時代遅れの差別意識でしかないと思いがちな私たちの世代が、意識すべき言葉だなぁと思いましたね。

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