「自分を不幸にする人」が陥りがちな思考のクセ

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「自分を不幸にする人」が陥りがちな思考のクセ

新型コロナウイルスのニュースが続くなか、SNSなどでは連日、誹謗中傷の言葉が飛び交っています。恐怖や憎悪、不安、絶望などは「情念」と呼ばれ、人間の意志で抑制することが難しく、暴走することもある。その情念のコントロール法を示したのが、20世紀の哲学者アランの『幸福論』です。
哲学書でありながら、平易で実用的な古典的名著。歴史的名著をマンガとともに解説した話題の新刊『マンガでわかる世界の名著』(NHK「100分de名著」制作班 監修)から、イライラした人のトリセツを紹介しましょう。■不幸の原因「ピン」を見つけなさい

 アランの『幸福論』は、カール・ヒルティ、バートランド・ラッセルと並ぶ「世界三大幸福論」の1つといわれています。この本を読み進めていくと、「幸福論」という書名とは裏腹に、書いてある内容は「不幸論」だということがわかります。「こういう考え方をしていると不幸になるよ。だからこうしましょう」というアドバイスをしているのです。

「赤ちゃんのエピソード」は、まさにその象徴です。泣き叫ぶ赤ちゃんに困り果てた乳母は、「これは未熟な性格のためだ」「きっと父親からの遺伝に違いない」と思い悩みます。 しかし、赤ちゃんが泣き叫んでいた原因が、産着にピンが挟まっていて、痛がっているだけだったら、どうでしょう。乳母は誤った考えを巡らせるだけで、赤ちゃんが泣いている原因を探ろうとさえしなかった。その結果、問題はますますこじれてしまった、ということになります。

 こういうことは、私たちにも往々にして起こりがちです。目の前の悩みの原因を探ろうとせず、ただ「どうしよう」と不安がったり、「もうだめだ」と悲観したり、時には怒りを爆発させたりする。ひどいときには間違った方向へ暴走していく。これこそが「不幸になる考え方」の典型的なパターンなのです。 では、そんなときどうすればよいか。

 アラン的にいえば、悩みから解放されたいなら「ピンを見つけなさい」ということになります。あなたをチクチクと刺している「ピン」はなんなのか。それはどこに隠れているか──。幸福になるために大切なのは、不幸の原因を見つめ、対処法を見つけることだ、とアランはいっているのです。

「人がいらだったり、不機嫌だったりするのは、しばしばあまりに長く立ち通しだったせいである。そんなときは、その人の不機嫌に対してあれこれ理屈をこねるのではなく、椅子を差し出してやるがいい」(本書より)

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