アビガンを1度は拒否…グラドルを襲ったコロナ/上【アイドル総合】

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引用元:日刊スポーツ
アビガンを1度は拒否…グラドルを襲ったコロナ/上

<ソラ豆琴美のコロナ闘病記:上>

新型コロナウイルスに感染して入院し、4月下旬に退院したグラビアアイドルのソラ豆琴美(27)が6日までに日刊スポーツの取材に応じた。意識がもうろうとするほどの重い症状から治療効果が期待される新型インフルエンザ薬「アビガン」を服用し回復した。胎児に奇形を起こす催奇形性などの副作用がある同薬の使用を決断するまでの葛藤、今なお続く新型コロナへの恐怖、感染者や家族への差別など赤裸々に語った。

【写真】水着でVサインするソラ豆琴美

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ソラ豆は自粛要請が出た3月下旬、休む選択肢が与えられた中でも「そんな状況でも仕事に行くのがプロだ」と思い仕事を続けた。3月末には「(食事券の)有効期限が切れてしまうから」という理由だけでファミレスで食事をした。これらの行動を今振り返ると「ものすごく後悔している行動がたくさんある」と打ち明けた。

4月上旬、初めての症状がソラ豆を襲った。就寝3時間後に「胸に重しを乗せられている」ような圧迫感を感じた。のどに物が詰まっている感覚もあり、熱は37・5度。保健所に電話するも、病院の受診をすすめられるだけで、自宅待機した。「すぐにコロナを疑いました」と話すが「なったかもーみたいな、結構軽い気持ち」だったという。

翌日、朝は平熱(36・5度)を下回ったが、夜になるにつれ「しゃべるのが辛かった」。3日目、熱は37・5度。節々の痛み、ずーーんと重い頭痛、せきとたんを繰り返した。病院に連絡しPCR検査を受けられることに。自転車で向かい、プレハブ部屋で1時間半待機し、受診した。熱は上がったり下がったりで「もしかしたら違うかも」という希望すらあった。初診料込みで約4000円を振り込み形式で請求された。夜には38・5度に上がっていた。

味覚嗅覚は4日目に失った。起床後「近くで工事をしているような、ツーンというにおいを感じて窓を閉めた」。だが、工事はしていなかった。サーモンクリームパスタを食べても味見で味が分からず、ただしょっぱいという感覚だけがあった。

息苦しさから、ぬれタオルを口に置いた5日目。保健所から「陽性」の電話があった。会話内容は「頭が真っ白になって全然覚えてない」。濃厚接触者はいなかった。自宅療養で話が進んでいたが、午後に「入院できる病院が見つかった」と連絡があった。

発症から6日目、病院に入院した。この頃には症状が落ち着き、平熱にもなっていた。部屋は1人部屋。CT検査をしたが「肺に問題はなく、息も吸えているので大丈夫です。肺炎にはなっていない」と言われ「入院したけど、すぐ退院できるな」と思いこんでいたという。

入院時には、医師からアビガンやレムデシビルの適応外使用について説明を受けた。アビガンには「妊娠やその可能性があると(胎児に奇形を起こす)催奇形性の可能性がある」と言われ、服用には同意書にサインと、妊娠検査が必要と言われた。

いまだ、このウイルスに特効薬はない。「何もしないで治る可能性があるなら、ちょっと時間がかかっても、副作用がある薬を飲むよりは良い」と考えた。「平熱が続いているから大丈夫です。飲まないで行きます」と答えると、医師から「そうだね、軽症だしね」とさらっと言われた。

「胸からせきが出ている感じ」とせきこんで起きた7日目、病室にある血中酸素濃度を計るセンサーで酸素が血液に取り込めている事も確認できた。「自分は軽症者だ。(病院に)迷惑は掛けられない」。この思いが後々、あだとなる。

8日目、この頃からまともにせきなどで睡眠が取れなくなり、食欲も無くなった。夕方には熱が38度を超えた。「気管を取り除きたい」と感じるほど、せきが苦しく、むずがゆかった。意識がもうろうするほどだったが、病院側には「大丈夫です」と伝え続けた。

朝の検温で38・9度。せきやたん、息苦しさは9日目も続いた。毎日電話していた母にも返事ができなくなり「ナースコールを押してくれ」と電話で泣かれ「高熱で苦しいです。適応外治療受けたいです」と言った。この間、気を失うこともあり、生死の境をさまよっていた。「あと1歩遅かったら…。考えると怖いです」と当時を振り返る。

入院初日に副作用が怖く、断ったアビガン。「もう怖いとか言うよりも、何かにすがりたく、早く楽になりたいと思っていた」。ただ、今になっても「もし今後妊娠したら、子供が生まれてくるまで、ずっと不安に思い続けるのかな」という思いもあるという。

夕飯後に1回にアビガンの錠剤9錠を飲んだ。寝たきりの生活だったのが、5時間後には「歩き回れた。ユズのお菓子も味がほんのり遠くに感じた」と効果がすぐ現れたという。アビガンは朝夕1回ずつ。最初の2回は9錠、それ以降は4錠を6日間に渡って服用した。

アビガンを初めて服用した翌日の10日目、朝の体温は37・6度。「急激には良くならないんだな」と感じながらも「前日の辛さが10だとすると4になった」という。

微熱は11日目も続いた。「このまま微熱が続くのか」と考えていたが、起きているとせきが出なくなってきた。プルメリアの花の香りのするハンドクリームのにおいもかすかに感じた。アビガンの効果を聞きに来た医師によると「(ソラ豆を含む)飲んだ患者4人が全員良くなっている」と言われたという。

熱が下がったのは12日目。平熱に戻り、お風呂にも4日ぶりに入れた。この後、熱が上がることはなかった。たんも黄色から透明に変化した。持参したゲームもできるようになり「辛さ10は2になった」。

13日目、1回目のPCR検査を受けたが14日目に「陽性」が確認された。「思っていたよりも時間がかかる」と実感した。17日目、2回目のPCR検査。「ゲホゲホというせきが、コンコンに変化した」。18日目、1回目の「陰性」。19日目、3回目のPCR検査。すでに元気で「一刻も早く、次の患者さんに病室をあけ渡したかった」。20日目、2回目の「陰性」。医師と初めて握手を交わし「泣きそうになるくらいうれしかった」。翌21日目、退院した。

入院初期には、個室の病室の外にあるトイレまで、コロナウイルス患者に許された行動範囲だった。だが、12日目には「トイレより大分先にある洗濯機のところまで行ってもよくなった」。それは「入院患者が増え続け、洗濯機のあるエリアまでの病室がコロナ患者で埋まった」事を意味していた。

入院初日に元気だった医師は、日を追うごとに疲れている様子がわかった。退院が決まった時には「(疲労で)フラフラになっていた」。

退院し、「医療従事者には感謝しかない」と語るソラ豆。退院後は、感染者やその家族に対する差別や誹謗(ひぼう)中傷も経験した。【佐藤勝亮】

(つづく)

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◆ソラ豆琴美の感染経緯

▼発症日(4月上旬) 熱37・5。保健所に電話

▼3日目 PCR検査

▼4日目 味覚嗅覚失う

▼5日目 陽性判明

▼6日目 入院。熱36・5。CT検査で肺炎にはなっていなかった

▼8日目 様態が急変

▼9日目 熱38・9。アビガン服用開始

▼10日目 熱37・6。辛さが10→4

▼11日目 熱37・5。せきの量が減る

▼12日目 熱36・5。4日ぶりに風呂。たんが黄色→透明に。辛さ10→2

▼13日目 PCR検査

▼14日目 「陽性」。朝でアビガンを飲み終える

▼17日目 PCR2回目

▼18日目 「陰性」

▼19日目 PCR3回目

▼20日目 2回目の「陰性」。医師と初めて握手

▼21日目 退院

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◆アビガン 富士フイルムHD傘下の富山化学工業が開発した薬。一般名はファビピラビル。新型コロナウイルスのようなRNAウイルスの複製を阻む。厚労省のホームページによると、動物実験において初期胚の致死及び催奇形性が確認されている。妊婦または妊娠の可能性がある人には投与できない。妊娠する可能性のある女性、させる可能性のある男性には、投与期間中及び投与終了後7日間は、極めて有効な避妊法の実施が必要とされる。5月中の薬事承認を目指している。

◆ソラ豆琴美(そらまめ・ことみ) 1992年(平3)5月20日、神奈川県生まれ。歌手、グラビアモデル、ライブアイドルなど幅広く活動。芸名は4文字名字に憧れがあり鼻歌まじりに考えた結果、そらまめに決定した。11年、活動開始。14年、TSUTAYAプリンセス2014グランプリ。16年1月、芸能界を引退したが、同5月活動再開。身長159センチ、血液型B型。

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