戸塚祥太と福田悠太が“阿呆浪士”に!? 伊藤純奈や宮崎秋人の息を呑む討ち入りも逸品。舞台『阿呆浪士』上演中

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戸塚祥太と福田悠太が“阿呆浪士”に!? 伊藤純奈や宮崎秋人の息を呑む討ち入りも逸品。舞台『阿呆浪士』上演中

パルコ・プロデュース舞台『阿呆浪士』が1月8日(水)に新国立劇場 中劇場にて初日を迎え、開演前には、主演の戸塚祥太(A.B.C-Z)と、福田悠太(ふぉ~ゆ~)、小倉久寛、演出を手がけたラサール石井の4名が登壇した囲み取材と公開ゲネプロが行われた。

【写真】舞台『阿呆浪士』囲み取材&ゲネプロの様子

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 冨田望

◆楽しい舞台になるのは間違いない
舞台『阿呆浪士』は、江戸の長屋に住むお調子者の魚屋である八(はち)が赤穂浪士として討ち入りを果たすまでを描いたエンターテインメント時代劇。

ひょんなことから赤穂浪士の血判状を手にし、本物の赤穂浪士だと嘘をついてしまう主人公の八を戸塚祥太(A.B.C-Z)が務め、本物の赤穂浪士のひとり、田中貞四郎を福田悠太(ふぉ~ゆ~)が演じるほか、長屋小町のお直に南沢奈央、大石内蔵助の娘・すずに伊藤純奈(乃木坂46)、八の友人で浪人のスカピンに宮崎秋人と、20~30代の若い俳優たちが集結。さらにその脇を、大石内蔵助を演じる小倉久寛などベテラン勢が固める。

主君への忠義による仇討ちという主題はもちろんだが、恋や友情といった青春物語の側面もフィーチャーされた、たっぷり笑って、ちょっぴり泣けて、最後にはグッとくる作品に仕上がっている。

公開ゲネプロ直前に行われた囲み取材には、戸塚祥太(A.B.C-Z)と福田悠太(ふぉ~ゆ~)に加え、小倉久寛と演出のラサール石井が登壇。

戸塚と福田はすでに“阿呆浪士”然とした姿勢で、フォトセッション中には「“阿呆”です……あふぉ~ゆ~です!」と小さな声で呟きながら満面の笑顔を見せて記者陣をなごませる。

囲み取材では戸塚が開口一番、「稽古の段階から笑いが絶えなかったので、楽しい舞台になるのは間違いない」と胸を張り、自身が演じる八という役柄を「酒に女にだらしない、野暮なことを貫き通して生きているヤツです」と解説。一方の福田は田中貞四郎について「とっつー(戸塚)とは真逆でめちゃくちゃ真面目な役です」と語る。

福田は別の舞台に出演していたために本作の稽古には1週間しか参加できなかったことも明かされ、「なかなか参加できなかったんですけど、皆さんがすぐに受け入れてくれて。僕はただ“阿呆”になればいいだけだったので楽しかったです」とコメント。

「めちゃくちゃ忙しいけど、仕事があるほうがいい」と声をそろえたふたりに対してラサール石井は「(福田は)稽古が始まってから遅れて参加したんですけど、台詞と動きが完璧でした。とっつーも立ち稽古の初日には台詞が全部入っていて、ジャニーズのプロ意識には助かりました」と絶賛。小倉も「戸塚くんは最初から江戸っ子になっていて。座長としてお芝居を引っ張っていく感じが出ていましたし、福ちゃんも2週間目に来たときには完璧に出来上がってたんですよ。このふたりについて行こうと思いました。65歳なんですけどね(笑)」とコメントし、記者を笑わせた。

記者からの「お正月らしさは味わいましたか?」という問いかけに戸塚が「実家に帰って、母のおせちとお雑煮を食べました。その前は『ジャニーズカウントダウン』のコンサートのあとにお参りに行きました」と答えたあとに、“顔みくじ”として「大吉の顔」を記者陣に披露。苦笑が広がるなか、福田が「“阿呆浪士”になってるので」とすかさずフォローすると、戸塚は「2020年、『阿呆浪士』でスタートを切れているので間違いないです。お客様にもこの舞台で最高の幕開けを飾って欲しい!」と呼びかける場面も。

また、「甥っ子たちにお年玉を配りました。兄貴にいくら包んだのかを聞いて、それよりちょっと多めに渡しました」と言う福田は、カウントダウンコンサートのあとは「僕たち、ふぉ~ゆ~は電車で帰りました」と振り返り、メンバーから「今日、“初日おめでとう”っていうLINEがきました」と明かす。すると戸塚は「優しいな~。うち、こないっすよ。いいな~。でも、昨日の夜も一緒だったから」と互いにグループの仲の良さもうかがわせた。

そして、最後に戸塚の「この作品で2020年の日本を盛り上げていきたいと思います。頑張るぞ!」という意気込みに合わせて4人で高々と拳と声を上げ、囲み取材は締め括られた。

◆「みんな、阿呆だ!」と叫ぶ、ひとりひとりの異なる胸中に思いを馳せて
ゲネプロではまず、開演前にウチワとペンライトの貸し出しがあるというアナウンスが流された。お客さんが演出に参加する応援上演という形で自前のウチワとペンライトの使用もOK。舞台はラサール石井曰く、「江戸時代の芝居小屋の一座が公演している」かのように、セットは江戸の歌舞伎小屋のような仕掛けが施されている。

開演時間になると、ベルの変わりに拍子木の連打音が鳴り響き、“お芝居と観客をつなぐ役目”である浪曲師(玉川奈々福)が登場。ウチワやペンライトを使うタイミングを説明するとともに、赤穂浪士の時代背景を語り、八(戸塚祥太)の阿呆っぷりを表現した歌とダンスで本編は幕が開ける。

一幕では、八が思いを寄せる長屋小町のお直(南沢奈央)や友人である浪人のスカピン(宮崎秋人)との人間関係が面白おかしく描かれ、他方では、浪人として身を隠して暮らしている田中貞四郎(福田悠太)が大石内蔵助の娘であるすず(伊藤純奈)と黒兵衛(佐藤 誓)を江戸に迎え入れる。本来であれば交わることのない町人と武士がひょんなことから出会ったことで、物語は思わぬ方向へと進んでいく。

小倉が会見で戸塚を「最初から江戸っ子だった」と評した理由は、彼が最初に台詞を発した瞬間にすぐに理解できた。とにかく早口で歯切れが良く、発音の勢いも強くて心地いい。そのうえ、軽妙で滑稽だけれども、どこか憎めない愛らしさもある。逆に福田演じる貞四郎は朴訥としていて、笑いもぎこちなく、真面目さが滲み出ているのだが、この対比が二幕では逆転していく。八が阿呆であればあるほど、二幕でより胸にグッとくる構成となっているのだ。

また、一幕での見どころのひとつとして、すずを演じる伊藤による南京玉簾も挙げておきたい。いつまでも討ち入りを決行しない父に業を煮やして江戸に乗り込んできた武士の娘という気丈の強さも滲ませながら、身を隠すために習得した南京玉簾をしっかりと披露している。この芸を見事に成功させた暁には大きな拍手を送ってあげたい場面となっている。

さらに一幕の終盤では“建前や嘘を廃し、自分の心に正直に生きよう”というメッセージも投げかけてくる。“本当の胸の内とは何か?”“生活を深く愛してはいけないのか?”などなど。元禄の時代劇を見ているつもりが、いつの間にか、現代ともつながるような台詞が次々と投げかけられ、自分自身の日常を見つめ直す契機をくれる。

二幕では、囲み取材でラサール石井が話した「戸塚くんがプライベートのカラオケでも絶対にやらないようなものをやっていだいた、お楽しみコーナー」が待っている。戸塚も「初挑戦のことをやらせてもらっています」と語っていたので、観劇まで楽しみにしていて欲しい。また、一幕で吉原の花魁と恋仲に落ちた福田の登場シーンにも注目。

そして、物語はいよいよクライマックスへと向かっていく。大義のない八とスカピンの苦悩を経た討ち入りのシーンは圧巻。真っ暗な舞台に白い雪が舞い散るなかでの戸塚や宮崎、そして、小倉の佇まいは、息を飲むほど静かで悲しく、美しかった。「みんな、阿呆だ!」と叫ぶ、ひとりひとりの声の奥に潜む、それぞれの異なる胸中に思いを馳せながら観て欲しい。

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