浦井健治&柿澤勇人らがロングラン公演の有終の美を飾る。ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』日本キャスト版 Season3に向けた熱き想い

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浦井健治&柿澤勇人らがロングラン公演の有終の美を飾る。ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』日本キャスト版 Season3に向けた熱き想い

浦井健治と柿澤勇人が出演するブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』日本キャスト版 Season3が、4月1日(水)からIHIステージアラウンド東京にて上演される。
昨年11月から今年の5月まで7ヵ月におよぶ公演を3シーズンに分け、異なる日本キャストで上演されている本作。アメリカのニューヨークを舞台に、人種の異なる不良グループが縄張り争いを繰り広げ、トニーという青年と、敵対する不良のリーダーの妹・マリアが恋に落ちてしまう物語。
Season3では、主演のトニー役を浦井健治と柿澤勇人のWキャスト、マリア役を桜井玲香と伊原六花が務め、アニータ役にソニンと夢咲ねね、トニーの親友であるリフ役に加藤和樹と木村達成、ベルナルド役にOguriと有澤樟太郎と豪華なキャストたちがシーズン最終章を届ける。
そこで浦井健治と柿澤勇人にインタビューをして本作への意気込みを聞いた。

【写真】浦井健治&柿澤勇人さんの撮り下ろしショット

取材・文 / 竹下力 撮影 / 関信行

◆今の日本で上演されるのは意義があること

ーー 『ウエスト・サイド・ストーリー』に対する印象から聞かせてください。

【 浦井健治 】 世界中で上演され、多くのファンに愛されている不朽の名作です。日本でも山口祐一郎さんを筆頭に、諸先輩方が関わった歴史あるミュージカル。それを令和という時代に、我々の情熱を舞台に注ぎ込んで、人間の葛藤、争いの虚しさをお客様にメッセージとして伝えることができるので、今の日本で上演されるのは意義があることだと思います。

【 柿澤勇人 】 僕が所属していた劇団四季でも上演されましたし、ミュージカルに出演している僕だけでなく、ミュージカルが好きな方も、そうでない方も知っていらっしゃる作品です。上映された映画は時代背景もあってセンセーショナルだっただろうし、そんな名作に携わることができるので光栄です。年齢的に32歳になったので、若者のトニーを演じるのはラストチャンスだと思って楽しみたいです。

ーー おふたりが演じるトニーはどのような役だと思いますか。

【 浦井 】 人を純粋に愛する気持ちを体現している役で、男性として憧れの象徴だと思います。そして、人間としての生き方を学ぶことができる存在でもあります。なにより、若さゆえにアンバランスではありますが、トニーは、年齢のわりに精神年齢が高いことも特徴だと思うので、ストーリーの伏線や台詞の裏側の感情をしっかり読み取って演じたいと思います。

【 柿澤 】 マリアという女性に対して、ひと目惚れ以上のことが起きて、人生の最後まで添い遂げたいと確信してしまう。ただ、愛した女性が対立するグループのメンバーだったので悲劇がどんどん転がっていくお話で、その中でひとりの女性をとことん愛する体験ができるのは役者として嬉しいことです。それに、そのマリア役の桜井玲香さん、伊原六花さんはとてもフレッシュな方ですし、不良グループ・ジェッツのリフという親友役である加藤和樹さん、木村達成さんもまったくタイプが違うふたりなので、皆さんとお芝居をすることも楽しみです。青春時代はみんなが通ってきたものなので、それを再体験できるのは貴重な機会だと思っています。

◆感情を音に込める繊細な作業と技術が必要な楽曲

ーー 名曲揃いですが、歌うことで心がけたいことはありますか。

【 浦井 】 キーも低くなったり、高くなったり目まぐるしく変化するし、内に秘めた感情を声で張り上げるだけではなくて、感情を音に込める繊細な作業と技術が必要なので、そこからお芝居にしっかり落とし込んでいきたいと思います。とにかくメロディーが素晴らしいので、それに乗ることができれば勝ちだと感じているのですが、ひとりでは乗り越えられない楽曲が揃っているので大変ですね。ロングランの公演ですし、喉のケアも含めて、カッキー(柿澤勇人)と助け合って、魂を込めて歌いたいと思います。

【 柿澤 】 健ちゃん(浦井健治)が言ったとおりだと思います。たとえば、「SOMETHING’S COMING」は、トニーがマリアと出会って、恋とはわからないけれど、恋になりそうな予感を歌う曲ですが、歌稽古をしたときに、4分の3拍子がいきなり4分の2拍子という変拍子を刻むので、歌うのがとても難しい。ですが、それが音楽のレナード・バーンスタインの、ノッキングしながらも前に進んで、その先に何かがあることを表していると思います。YouTubeで今作の曲を歌っているコンサート映像を観たのですが、世界三大テノールのドミンゴが「Maria」を朗々と歌っているのに、バーンスタインから何回もやり直しを指示される。音や拍子の強弱ひとつひとつにバーンスタインの思い入れがあるからこそのエピソードで、観なければよかったと思いつつ(笑)、楽曲と誠実に向き合っていきたいです。

ーー おふたりは『タイトル・オブ・ショウ』(2014)や『デスノート THE MUSICAL』で共演されていますが、関係性はいかがですか。

【 浦井 】 カッキーは、役者としてイチではなくてゼロになれる。舞台でゼロからお芝居ができる役者は少ないし、役として生きて存在し、全身に憑依させることができる稀有な存在だと思います。僕がカッキーを初めて観たのは劇団四季の『春のめざめ』で、“すごい役者だ”と思いました。そのあとご飯をご一緒したときには、普通のサッカーが好きな少年で(笑)、役者然としていなくて、あくまでひとりの人間として生きているのもカッコいいと思います。そのうえ、人情深いところもあるし、人を見捨てないところは“男”だと思います。いや、“漢”と書いてください(笑)。

【 柿澤 】 どうしてそこにこだわるの?(笑)

【 浦井 】 いや、念を押しておこうと思って(笑)。ビールとサウナが似合う“漢”です。令和時代のミュージカル畑には珍しい役者だと思いますよ。吉田鋼太郎さんに気に入られるのもわかる(笑)。

【 柿澤 】 吉田さんには「お前は俺の若いときにそっくりだ」と言われたことがありますね(笑)。健ちゃんとは10年以上の付き合いで、その『春のめざめ』の公演が終わって浜松町でご飯を食べたときは、“浦井さんってどういう方だろう”と緊張していたのですが、僕が話しやすいように場を温めてくれて嬉しかった記憶があります。そこから、ずっと優しい雰囲気で、福田雄一さんの『タイトル・オブ・ショウ』で共演し、『デスノート THE MUSICAL』では同じ役を演じて、今年は『ウエスト・サイド・ストーリー』で一緒にトニーを演じるなんて、『春のめざめ』でご飯を食べているときには考えられなかったことですね。今では“健ちゃん”と言わせていただいていますが、人柄も素晴らしくて、ざっくばらんに話し合える間柄です。けど、LINEでスタンプを送ってきてくれるんですけど、最初は返事をしていたのですが、次第に返信するのが億劫になってきて……(笑)。

【 浦井 】 そう!(笑)平気で既読スルーするよね。まあ、カッキーに愛があるから、めげずに送るけど。

【 柿澤 】 あはは。それでも現場で会ったときに何事もなく話せるのは、浦井健治の人間性だと思います!(笑)

ーー 共演されたときのエピソードはありますか。

【 浦井 】 『デスノート THE MUSICAL』で同じ役を演じたことは大きかったかも。初演も再演も、音楽のフランク・ワイルドホーンから「この舞台に出演することを誇りに思ってくれ」と言われたことを覚えています。

【 柿澤 】 『デスノート THE MUSICAL』は日本発信のミュージカルで、台湾、台中の大きな劇場で上演するまで成功を収められたのも、“健ちゃん”と一緒だったからだと思います。役者としての健ちゃんは、行くところまで行ってしまうタイプだと思っていて、僕らが演じる夜神 月(ライト)がリュークという死神に「死ね」と言われて、そこからの約40秒間、死ぬまでにもがき苦しむお芝居をしなければいけなかったのですが、僕はわりと冷静に「死にたくない」と叫ぶお芝居をしていたのですが、健ちゃんはあざだらけになるほどのお芝居をしていて感動しました。だから、今回のトニーもどうなるのか楽しみですし、健ちゃんから盗めるものがあれば盗みたいです。

◆世界に2つしかない劇場で観劇できることは貴重な体験になる

ーー IHIステージアラウンド東京で演じるうえで気をつけたいことはありますか。

【 浦井 】 客席が回転する円形劇場は、日本とオランダだけで、世界に2つしかないわけですから、そんな劇場でお芝居を観ることができるのは貴重な体験になると思います。これまで劇団☆新感線の舞台を観たり、実際に『メタルマクベス』disc3で出演してみて、極上の劇場だと思いました。とにかく演技スペースが広くて、とんでもなく広い空間をお芝居で埋めなければいけないという恐ろしさはあるのですが、味方につけることができると、お客様が前のめりに楽しんでいただける体感型の劇場だと思います。広さのほかに演者の怖さとしては、迷子になるので、上手や下手ではなくて、東西南北の感覚に気をつけなければいけないと思います。

【 柿澤 】 僕は今回が初めての劇場ですが、『ウエスト・サイド・ストーリー』の来日公演を拝見したときに、大掛かりなプロジェクション・マッピングができるし、客席が回ることで大きな転換シーンもあってダイナミックなので、世界で2つしかない劇場の最先端の技術を体感できるのは素敵な経験になると思いました。舞台の面白さは、主役を観ていただくことも、違う場所で起こっている役者の表情を観ることもできる、お客様が自在にカット割りできることが醍醐味だと思っているので、IHIステージアラウンド東京は情報量も多くなりますから、今作でいえば、ニューヨークにいるような感覚になれると思いますし、何度ご覧になっても楽しめると思います。

ーー 経験者の浦井さんから柿澤さんにアドバイスできることはありますか。

【 浦井 】 カッキーにというか、トニーはそれほど踊らないけれど、ダンスをしっかり踊るリフやベルナルドが大変だと思います。とにかく床が硬くて、リノリウムというよりコンクリートに近いので、そこで踊ったりバク転をすると膝にダメージがくるそうです。『ウエスト・サイド・ストーリー』Season1を観に行ったときも、裏に行くとキャストが氷水で足を冷やしていたりしたので、身体のケアを含めてみんなで向き合う必要がある。お互いに安心してお芝居をするためにも、健康管理をしっかりしていきたいと思います。

◆アトラクションを体感するような感覚で

ーー それでは、最後に見どころをお願いいたします。

【 浦井 】 『ウエスト・サイド・ストーリー』Season1、Season2とつないできたバトンはSeason3で完結するので、我々が責任を持って、ゴールまでたどり着けるようにしたいです。そして“これが、今の日本の『ウエスト・サイド・ストーリー』だ”と皆さんにお伝えできれば嬉しいし、アトラクションを体感するような感覚で劇場に来ていただけたらと思います。

【 柿澤 】 Season1、Season2をご覧になられていても、今作はそれぞれ毛色や感じ方も違うので楽しめると思います。お話は難解ではなく、普遍的なメッセージがある作品ですし、名曲もたくさんあります。僕らが汗をかきながら頑張っている姿から、ミュージカル好きな方も、初めての方も、きっと何かを感じて帰っていただけると思うので、ぜひ劇場に足を運んでいただきたいと思います。

浦井健治
ヘアメイク / 山下由花
スタイリング / 壽村太一

柿澤勇人
ヘアメイク / 松田蓉子
スタイリング / 椎名宣光
衣装 / ブルゾン 84,000円(CINOH)
シャツ 31,000円(CINOH)
パンツ 18,000円(NUMBER (N)INE)
ブーツ 65,000円(FACTOTUM×EARLE)

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